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はじめに
―行動栄養学への関心の高まり
■雨海 本日は,2023年に東京大学をご退官されて名誉教授となられた佐々木 敏先生と,佐々木先生の後任として東京大学大学院 医学系研究科 社会予防疫学分野教授にご就任された村上健太郎先生に,お二人のご専門であり,近年注目が高まっている「行動栄養学」をテーマにお話を伺います.私自身,行動栄養学についてはそれほど明るくはなく,2022年12月に開催された第22回国際栄養学会議で,佐々木先生による“Eating behaviours as a future direction in nutrition research”と題したレクチャーの座長をさせていただいたことで,本分野に触れるきっかけを得ました.
図1は,2024年1月の時点で,PubMedで“behavioral nutrition”を検索ワードに設定してヒットする論文数の推移を示したものです.総数は2020年をピークにそこまで伸びていませんが,雑誌別の比較をみてみると(図2),J Nutr Gerontol Geriatrが掲載誌としてもっとも多く,老年医学の分野で行動栄養学が注目されていることが推測できます.さらに,2004年にはInternational Journal of Behavioral Nutrition and Physical Activity(Int J Behav Nutr Phys Act)という雑誌が登場しており,この雑誌のインパクトファクターを確認すると2020年から急速に増加しているようです.これは新型コロナウイルス感染症の感染拡大を背景に本分野に注目が集まったことが要因と推察できますが,2022年度のScimago Journal & Country Rankにおいて“Nutritional and Dietetics”のカテゴリでのジャーナルランキングで,何とこのInt J Behav Nutr Phys Actが第1位でした(表1).この結果は,行動栄養学に対して世界的な注目が集まっていることを示していると思われます.
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