連載 私のすすめる本・21
法廷への招待
船山 泰範
1
1日本大学法学部
pp.684-685
発行日 2003年9月25日
Published Date 2003/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663903486
- 有料閲覧
- 文献概要
法廷への道
2003年7月22日,火曜日,法(のり)子は,午前9時40分頃,地下鉄霞ヶ関のA1番出口から地上に出た.ユリノキの大木にとまったアブラゼミが,今日の真夏日を約束するかのように鳴いているのを背中に聞きながら,法子は東京地方裁判所の建物の中に入った.
入り口から裁判所関係者と一般とに分けられていることに反感を抱いたが,法子は係員の言うままにバッグを預けた.バッグがベルトコンベアーに乗せられ,X線透視装置を通っていくのを横目に見ながら,自身は金属探知機を通り抜けた.隣りの探知機を通った中年男性にはブザーが鳴り,係員から懐中物を出すように言われていた.法子は自分のバッグを受けとって受付に向かい,456号法廷にはどう行ったらよいのか,聞いた.
Copyright © 2003, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.