連載 栄養指導・栄養管理に活かしたい 食物繊維学の新常識⑤
食物繊維と肥満
川端 友梨亜
1
,
宮本 潤基
1
,
木村 郁夫
2
Yuria Kawabata
1
,
Junki Miyamoto
1
,
Ikuo Kimura
2
1東京農工大学大学院 農学研究院
2京都大学大学院 生命科学研究科
キーワード:
腸内細菌
,
短鎖脂肪酸
,
Gタンパク質共役型受容体(GPCRs)
,
菌体外多糖(EPS)
Keyword:
腸内細菌
,
短鎖脂肪酸
,
Gタンパク質共役型受容体(GPCRs)
,
菌体外多糖(EPS)
pp.668-675
発行日 2024年5月1日
Published Date 2024/5/1
DOI https://doi.org/10.32118/cn144050668
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
食物繊維は「ヒトの消化酵素で消化されない食品中の難消化性成分の総体」と定義され1),従来は不要な栄養素としてとらえられていたが,近年,腸機能の改善や生活習慣病の予防など,さまざまな健康効果をもたらすことから,第六の栄養素として注目を集めている.国内外のコホート研究においても,食物繊維の摂取量が多いほど死亡リスクが低いという結果が報告されている2,3).近年,肥満が世界的に増加しており,糖尿病や高血圧などの生活習慣病や心・脳血管疾患などの重大な疾患を引き起こすリスクが高く,深刻な問題となっている.とくに,先進国を中心に食習慣や生活環境が問題視されており,わが国においても,食生活の欧米化だけでなく,食物繊維の摂取量の減少が肥満者の増加の一因であると示唆されている.従来,食物繊維はさまざまな機序によって抗肥満作用をもたらすと考えられており,本稿ではわれわれの最新の知見を中心に概説する.
Copyright © 2024 Ishiyaku Pub,Inc. All Rights Reserved.