ICI関連心筋炎

ICI-associated myocarditis

　免疫チェックポイント阻害薬（ICI）による免疫関連有害事象（irAE）は循環器領域でも問題となっており，特に死亡率の高いICI関連心筋炎が重要である．しかし発症頻度が低いこともあり，まだまだわかっていないことも多い．現時点では，ICIの併用療法がリスク因子として最も知られており，スクリーニングの検査ではトロポニンや心電図が最も重視されている．ICI関連心筋炎が疑われる状況では，心エコー検査，心臓MRI検査，心筋生検などを追加することとなる．ICI関連心筋炎の治療では，ICIの中止，コルチコステロイドや免疫抑制薬，心不全や心原性ショックに対する治療を行う．一方，ICI関連心筋炎の認知度が上がるとともに，無症候性の心筋逸脱酵素上昇が見つかるようになっており，腫瘍医と循環器内科医が連携し，不要なICI中止を行わないようにすることも重要と考えられる．