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特集 心筋炎――医療と医学の最前線
Onco-Cardiologyにおける心筋炎
Myocarditis in Cardio-Oncology
田尻 和子
1
Kazuko TAJIRI
1
1国立がん研究センター東病院循環器科
キーワード:
腫瘍循環器
,
自己免疫
,
免疫チェックポイント阻害薬(ICI)
,
免疫関連有害事象(irAE)
Keyword:
腫瘍循環器
,
自己免疫
,
免疫チェックポイント阻害薬(ICI)
,
免疫関連有害事象(irAE)
pp.998-1002
発行日 2022年9月10日
Published Date 2022/9/10
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28211998
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免疫チェックポイント分子は自己免疫寛容の維持において中心的な役割を果たしており,免疫チェックポイント阻害薬(ICI)を使用した際に自己に対する不適切な免疫反応が生じることは容易に想像できる.それらの免疫反応は免疫関連有害事象(irAE)とよばれ,従来の抗腫瘍薬による副作用とは異なる特徴を有する.生体内のほとんどすべての臓器に影響を及ぼすことが報告されているが,心筋炎は心臓irAEの代表格であり,約半数の症例で致死的な転期をたどるとされている.ICI投与から心筋炎発症までの期間はおおむね3カ月以内であり,用量非依存性である.病理組織学的にはCD8陽性T細胞とマクロファージの心筋組織内浸潤が特徴であり,炎症はしばしば心臓伝導系に波及し,ブロックや致死性不整脈を合併する.時に他の臓器のirAEを伴うことがあり,筋炎や重症筋無力症は比較的多く合併する.循環器医と腫瘍医の両方がこの病態に関して認識を深めるとともに,治療法の開発が急務となっている.
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