免疫チェックポイント阻害薬（ICI）による神経関連有害事象

Neurological adverse events associated with immune checkpoint inhibitors

　免疫チェックポイント阻害薬（ICI）による神経・筋関連有害事象は，中枢神経から末梢神経，筋に至るまで多彩であり，髄膜脳炎，多発神経根炎，重症筋無力症（MG），筋炎は臨床的に重要である．従来考えられていたより発症頻度が高く，重篤化しうるため，迅速かつ的確な診断と管理が不可欠である．これらが免疫関連有害事象（irAE）として発症した場合，臨床像や経過，検査所見が一般的症例と異なることがあり，注意を要する．傍腫瘍性神経症候群（PNS）様の症例や，MG・筋炎・心筋炎を同時に発症する “immune-related triple M” は予後不良であり，早期からの介入が重要である．治療は，症状が軽微な場合を除きICIを中止し，重症度に応じてステロイドを投与する．反応はおおむね良好であるが，重症例では血液浄化療法や免疫抑制剤の併用が必要となることもある．再投与は重症化の危険を伴うため原則回避されるが，症例に応じて慎重な判断が求められる．