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第5土曜特集 心不全診療の未来戦略――ゲノム,AI,多臓器連関が拓く新時代
急速に進歩し続けるゲノム・オミクス研究のcutting edge
大動脈弁狭窄症発症のメカニズム
-――シングルセル解析は病態に迫れるか
Clarifying the mechanisms of aortic valve stenosis
――Can single-cell analysis elucidate its pathogenesis?
江本 拓央
1
,
濱名 智世
1
,
大竹 寛雅
1
,
山下 智也
2
Takuo EMOTO
1
,
Tomoyo HAMANA
1
,
Hiromasa OTAKE
1
,
Tomoya YAMASHITA
2
1神戸大学大学院医学研究科内科学講座循環器内科学分野
2同科学技術イノベーション研究科先端医療学分野
キーワード:
シングルセル解析
,
マクロファージ
,
T細胞
Keyword:
シングルセル解析
,
マクロファージ
,
T細胞
pp.779-784
発行日 2025年11月29日
Published Date 2025/11/29
DOI https://doi.org/10.32118/ayu295090779
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大動脈弁狭窄症(AS)は大動脈弁が硬化,石灰化し,左室から上行大動脈への血流が妨げられる病態であり,高齢化社会において増加し続けている.現在のところ有効な薬物治療は存在せず,その開発が強く求められている.病態メカニズムとしては,大動脈弁間質細胞(VIC)が骨芽細胞様細胞へ分化し,石灰化が誘導されることが知られているが,その背景には慢性炎症が深く関与しており,免疫細胞の役割も徐々に明らかになりつつある.さらに,血液幹細胞におけるクローン性造血(CHIP)やY染色体喪失の関与も示されている.シングルセル解析技術の発展により,病態をシングルセルレベルで解明できる時代となったが,がん領域や心疾患領域に比べると研究の進展は遅れているのが現状である.今後はゲノム,トランスクリプトーム,プロテオームを組み合わせたマルチオミクス研究の推進が,新たな薬物治療の開発につながると期待される.

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