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第5土曜特集 心不全診療の未来戦略――ゲノム,AI,多臓器連関が拓く新時代
急速に進歩し続けるゲノム・オミクス研究のcutting edge
心臓サルコイドーシスの病態を空間的に解き明かす
-――空間解析が切り拓く新たな理解
Unraveling the spatial pathophysiology of cardiac sarcoidosis
――Advancing understanding through spatial analysis
片桐 美香子
1
Mikako KATAGIRI
1
1東京大学大学院医学系研究科循環器内科
キーワード:
心臓サルコイドーシス
,
肉芽腫
,
空間的オミクス解析
Keyword:
心臓サルコイドーシス
,
肉芽腫
,
空間的オミクス解析
pp.785-789
発行日 2025年11月29日
Published Date 2025/11/29
DOI https://doi.org/10.32118/ayu295090785
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サルコイドーシスは原因不明の慢性炎症性疾患であり,非乾酪性類上皮細胞肉芽腫を特徴とする.免疫細胞の活性化,肉芽腫と周囲免疫細胞の相互作用,線維化やリモデリングといった組織変化が主な病態である.しかし従来の方法では,これらの局所的かつ連続的な変化を十分に捉えることは困難であった.近年登場した空間トランスクリプトミクスやハイプレックス空間プロテオミクスなどの空間オミクス技術は,細胞や分子の位置情報を保持したまま遺伝子発現やタンパク質局在を検出でき,組織内の微細構造や疾患進展機序の解明に有用な手法となっている.本技術を解析に使用することで,サルコイドーシスにおける肉芽腫から周辺組織に至る免疫細胞の構成,代謝状態,線維化プロセスを高解像度で可視化し,新たな診断指標や治療標的の発見につながりつつある.本稿では,空間解析による最新知見,マクロファージサブセットの役割,代謝特性に基づく新規治療戦略について概説する.

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