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第5土曜特集 心不全診療の未来戦略――ゲノム,AI,多臓器連関が拓く新時代
急速に進歩し続けるゲノム・オミクス研究のcutting edge
先天性心疾患における遺伝学的解析の進展
-――次世代シークエンスの有用性とその次の一歩
Decoding congenital heart disease
――Next-generation sequencing and the next step
山本 英範
1
Hidenori YAMAMOTO
1
1名古屋大学医学部附属病院小児循環器センター
キーワード:
先天性心疾患(CHD)
,
遺伝学的解析
,
次世代シークエンス(NGS)
,
多因子遺伝
,
二遺伝子遺伝
,
体細胞変異
Keyword:
先天性心疾患(CHD)
,
遺伝学的解析
,
次世代シークエンス(NGS)
,
多因子遺伝
,
二遺伝子遺伝
,
体細胞変異
pp.755-759
発行日 2025年11月29日
Published Date 2025/11/29
DOI https://doi.org/10.32118/ayu295090755
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先天性心疾患(CHD)は出生1,000人あたり8~10人に発症し,小児期死亡の主要原因となる疾患である.近年,出生前診断や周術期管理の進歩により,CHD患者の多くが成人期まで生存するようになり,遺伝学的背景の理解と臨床応用の重要性が増している.CHDの原因は,染色体異常,コピー数異常(CNV),単一遺伝子変異から,環境因子を含む多因子遺伝まで多岐にわたる.本稿では,染色体検査,FISH,マイクロアレイ解析(CMA),次世代シークエンス(NGS)を用いた診断・研究の現状を概説し,新規疾患遺伝子の同定例やrapid NGSの臨床的な有用性を紹介する.また,多因子遺伝や二遺伝子遺伝,体細胞変異の関与とその臨床的意義を解説し,将来的な全ゲノム解析やエピゲノム解析による心臓発生メカニズムの解明,個別化診療への応用可能性を論じる.CHDにおける遺伝学的研究は病因解明にとどまらず,診断,予後予測,治療戦略,予防医学への橋渡しとなることが期待される.

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