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増刊号特集 最近のトピックス2023 Clinical Dermatology 2023
1.最近話題の皮膚疾患
EGFR遺伝子変異による序列性表皮母斑
A nonepidermolytic keratinocytic epidermal naevus associated with a postzygotic mutation in the gene encoding epidermal growth factor receptor
梅垣 知子
1
Noriko UMEGAKI
1
1東京女子医科大学附属足立医療センター皮膚科
1Department of Dermatology, Tokyo Women's Medical University Adachi Medical Center, Tokyo, Japan
キーワード:
表皮母斑
,
EGFR遺伝子
,
体細胞変異
Keyword:
表皮母斑
,
EGFR遺伝子
,
体細胞変異
pp.21-25
発行日 2023年4月10日
Published Date 2023/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412206952
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summary
顆粒変性を伴わない表皮母斑は,Blaschko線に沿って褐色調の疣状の丘疹が分布する臨床像を特徴とし,RAS/MAPK,PI3K/AKTシグナル伝達経路の体細胞変異で生じることが知られている.今回われわれは上皮成長因子受容体(EGFR)蛋白質をコードするEGFR遺伝子に,病変部表皮特異的に体細胞変異をモザイクで同定した表皮母斑を初めて報告した.患者は6歳,男児.家族内に同症なし.生後3か月ごろから,軀幹に周辺の皮膚に比べてやや白色調の皮疹をBlaschko線に沿って認めた.ダーモスコピーでは,色素ネットワークを伴っていた.皮膚生検では顆粒変性を伴わない表皮の肥厚があり,基底層のメラニン増加があった.エクソームシーケンスを行ったところ,病変部表皮特異的にEGFR c. 2582T>A(p. L861Q)変異をヘテロで認めた.サンガーシーケンスおよび,digital polymerase chain reactionにて,病変部表皮特異的にこの変異を認めたが,末梢血と病変部真皮に変異はないことを確認した.免疫染色にて,病変部表皮基底層のEGFR活性が亢進していることが示された.本症例は,de novoで生じたEGFR活性型遺伝子変異による表皮母斑と診断した.
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