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第1土曜特集 エピゲノム編集の進歩と医療応用への道
エンハンサー同定と編集による疾患分子メカニズムの解析
Analysis of disease mechanisms through enhancer identification and editing
吉富 啓之
1,3
,
小口 綾貴子
3,4
,
村川 泰裕
2,3,4
Hiroyuki YOSHITOMI
1,3
,
Akiko OGUCHI
3,4
,
Yasuhiro MURAKAWA
2,3,4
1京都大学大学院医学研究科免疫細胞生物学分野
2同病態生物医学分野
3京都大学高等研究院ヒト生物学高等研究拠点(ASHBi)
4理化学研究所生命医科学研究センター遺伝子構造制御研究チーム
キーワード:
エンハンサー
,
エンハンサーRNA(eRNA)
,
転写開始点解析
,
ゲノム編集技術
Keyword:
エンハンサー
,
エンハンサーRNA(eRNA)
,
転写開始点解析
,
ゲノム編集技術
pp.375-381
発行日 2025年11月1日
Published Date 2025/11/1
DOI https://doi.org/10.32118/ayu295050375
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エンハンサーは遺伝子の遠位に存在し,細胞種特異的に活性化して標的遺伝子の発現を増強するゲノム配列であり,疾患発症の鍵を握る領域として注目されている.近年,ヒト疾患関連一塩基多型や変異の多くがエンハンサー領域に局在することが明らかとなり,その理解が分子病態の解明につながる.筆者らは,活性化エンハンサーを高塩基解像度で網羅的に解析する手法を開発し,さらにシングルセル解析に対応したReapTEC法を確立した.また,ゲノム編集技術を用いることで,同定したエンハンサーの活性を人為的に操作し,その標的遺伝子の発現変動を解析することに成功した.この “エンハンサー編集” により,疾患関連遺伝子の発現を細胞種特異的に制御できる新たな可能性が示され,将来的なエンハンサー介入型治療法の開発にもつながると期待される.ノンコーディング領域の理解はヒトゲノム研究の新たなフロンティアであり,生命科学と医学の飛躍的発展をもたらす原動力となる.

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