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第5土曜特集 生活習慣病の克服に向けたゲノム医療――ゲノム医科学の進展と精密医療の実現
トピックス
ヒトゲノムの “ノンコーディング領域” から生活習慣病を理解する新しいテクノロジー
Genomic technologies to understand the role of non-coding regions in metabolic diseases
孫 楽
1,2,3
,
小口 綾貴子
1,2,3
,
村川 泰裕
1,2
Raku SON
1,2,3
,
Akiko OGUCHI
1,2,3
,
Yasuhiro MURAKAWA
1,2
1京都大学高等研究院ヒト生物学高等研究拠点
2理化学研究所生命医科学研究センター理研―IFOMがんゲノミクス連携研究チーム
3京都大学大学院医学研究科腎臓内科学講座
キーワード:
ゲノムワイド関連解析(GWAS)
,
ノンコーディング領域
,
エンハンサー
,
NET-CAGE
Keyword:
ゲノムワイド関連解析(GWAS)
,
ノンコーディング領域
,
エンハンサー
,
NET-CAGE
pp.470-475
発行日 2021年7月31日
Published Date 2021/7/31
DOI https://doi.org/10.32118/ayu27805470
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“ノンコーディング領域” はタンパクをコードしないゲノムの領域を指し,従来ジャンク(ゴミ)と考えられていた.しかし近年,ノンコーディング領域こそが生活習慣病に代表される多因子疾患に関連することがわかってきた.なかでも “エンハンサー” がその理解の中心的な役割を担う.エンハンサーは,標的となる遺伝子の発現を細胞種特異的に活性化する “遺伝子スイッチ” として働く.大変興味深いことに,さまざまな疾患に関わるDNA多型の多くがエンハンサー領域に存在している.したがって,エンハンサーの機能解析によりヒトの病態の理解が深まる.本稿ではエンハンサーを解析する基本技術に加えて,一塩基レベルの高精細度で機能的なエンハンサーを検出できるNET-CAGE法を解説する.エンハンサーからその標的となる遺伝子を同定し,生活習慣病の疾患パスウェイを臓器特異的に紐解くことが,新しい医療への起爆剤となる.
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