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第1土曜特集 生体システムのレジリエンス――神経–免疫–内分泌連関から探る適応と修復のメカニズム
臓器関連の包括的理解に基づく認知症関連疾患の克服に向けて
Toward overcoming dementia-related diseases based on comprehensive understanding of inter-organ crosstalk.
髙橋 良輔
1,2,3
,
山門 穂高
2,4
Ryosuke TAKAHASHI
1,2,3
,
Hodaka YAMAKADO
2,4
1京都大学総合研究推進本部(KURA)参与
2同大学院医学研究科多系統萎縮症治療学講座
3JSTムーンショット目標2髙橋プロジェクト・プロジェクトマネージャー
4同・課題推進者
キーワード:
認知症
,
超早期診断
,
アミロイドβ(Aβ)
,
αシヌクレイン
,
単一細胞RNAシークエンス解析
Keyword:
認知症
,
超早期診断
,
アミロイドβ(Aβ)
,
αシヌクレイン
,
単一細胞RNAシークエンス解析
pp.79-84
発行日 2025年10月4日
Published Date 2025/10/4
DOI https://doi.org/10.32118/ayu295010079
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超高齢社会を迎えたわが国における認知症の社会的コストは膨大であり,認知症の克服は社会の喫緊の課題である.最近,抗アミロイドβ抗体療法が開発され,早期アルツハイマー病では疾患進行抑制効果が確認されたが,進行を停止させるには至っていない.今後求められるのは,疾患過程は始まっているが,無症状で,健康状態に回復できる超早期(未病期)を末梢血などの簡便なバイオマーカーを用いて同定し,未病期に介入して発症を抑制することである.そのために筆者らは脳と臓器間ネットワークに着目し,自律神経系や脈管系を介した脳と全身臓器の相互作用を解明するアプローチで,認知症超早期バイオマーカーの開発を進めている.本稿では,超早期の分子動態を明らかにするため認知症モデルマウスの多臓器の単一細胞RNAシークエンス解析(scRNA-seq)を行い,数理的手法を駆使して超早期バイオマーカーを同定し,ヒトの認知症へトランスレーションする戦略を紹介する.

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