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第5土曜特集 アルツハイマー病――研究と治療の最前線
基礎
アルツハイマー病とミクログリア・炎症
Microglia and inflammation in Alzheimer disease
富田 泰輔
1
Taisuke TOMITA
1
1東京大学大学院薬学系研究科機能病態学教室
キーワード:
アミロイドβ(Aβ)
,
タウ
,
TREM2
,
INPP5D
,
抗体医薬
Keyword:
アミロイドβ(Aβ)
,
タウ
,
TREM2
,
INPP5D
,
抗体医薬
pp.878-882
発行日 2023年12月30日
Published Date 2023/12/30
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28713878
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アルツハイマー病(AD)患者脳においては,老人斑および神経原線維変化の蓄積,神経細胞死に伴う脳萎縮に加え,ミクログリアやアストロサイトなどグリア細胞の活性化が見出されていたが,これらは脳内環境異常の結果としての炎症応答が想定されていた.しかし,ミクログリア特異的に発現する遺伝子TREM2がAD遺伝学的リスク因子として同定されたことを嚆矢としてモデル動物を用いた研究が進められ,グリア細胞の炎症応答が神経変性やタンパク質凝集病理形成に大きく影響することが明らかとなり,神経変性疾患の発症原因として注目を浴びている.また,抗凝集アミロイドβ(Aβ)抗体医薬であるレカネマブが薬効を示したことから,ミクログリア機能への介入によって疾患修飾が可能であることが明らかとなった.本稿では,これらのメカニズムについて最新の知見をまとめる.
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