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第5土曜特集 アルツハイマー病――研究と治療の最前線
バイオマーカーとゲノム
質量分析を用いた血液バイオマーカー測定法の開発
The development of blood-based biomarker assay using mass spectrometry
金子 直樹
1
,
中村 昭範
2
Naoki KANEKO
1
,
Akinori NAKAMURA
2
1株式会社島津製作所田中耕一記念質量分析研究所
2国立研究開発法人国立長寿医療研究センターバイオマーカー開発研究部
キーワード:
血液バイオマーカー
,
質量分析
,
アミロイドβ(Aβ)
Keyword:
血液バイオマーカー
,
質量分析
,
アミロイドβ(Aβ)
pp.931-936
発行日 2023年12月30日
Published Date 2023/12/30
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28713931
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アルツハイマー病(AD)の病理を反映する血液バイオマーカーは低コスト,低侵襲性で分析可能であることから切望されていたが,その臨床的有用性は長年明らかにされてこなかった.筆者らはこの課題に取り組むべく,免疫沈降法(IP)とマトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析法(MALDI-TOF MS)を組み合わせたIP-MALDI-MS法を開発し,質量分析による血漿内在性アミロイドβ(Aβ)の検出をはじめて報告した.この技術を用いて血漿APP669-711/Aβ1-42比がアミロイドPETと相関する新規バイオマーカーであることを報告した.さらに日本とオーストラリアのデータセットにおいて,APP669-711/Aβ1-42比,Aβ1-40/Aβ1-42比,および,それらの組み合わせ(composite biomarker)とアミロイドPETとの高い一致性を示した.疾患修飾薬の進展に伴い血液バイオマーカーの意義は高まっており,投薬対象者のスクリーニングや薬効モニタリング,診療におけるAD診断補助での使用が期待されている.
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