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第5土曜特集 アルツハイマー病――研究と治療の最前線
基礎
細胞外フローを介した脳内クリアランス
-――グリアリンパ系と硬膜リンパ系
Brain clearance via extracellular flow
――Glymphatic system and dural lymphatics
山田 薫
1
Kaoru YAMADA
1
1東京大学大学院医学系研究科神経病理学分野
キーワード:
アミロイドβ(Aβ)
,
タウ
,
グリアリンパ系
,
髄膜リンパ系
Keyword:
アミロイドβ(Aβ)
,
タウ
,
グリアリンパ系
,
髄膜リンパ系
pp.898-901
発行日 2023年12月30日
Published Date 2023/12/30
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28713898
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アルツハイマー病(AD)は,アミロイドβ(Aβ)とタウの異常蓄積の連鎖に伴って発症すると考えられる.通常,これらのタンパク質の脳内量はプロテオスタシスによって高度に維持されているが,クリアランスの低下などによりこの平衡が破綻すると,異常タンパク質が蓄積し,AD発症リスクが増加すると考えられる.従来,これらAD関連タンパク質のクリアランス研究は,ユビキチン-プロテアソーム経路,オートファジー-リソソーム経路,プロテアーゼによる分解,受容体による取り込み,および血液脳関門を介した輸送など,脳局所での除去経路に主な焦点が当てられてきた.これに加え近年,グリアリンパ系とよばれる脳細胞外液フロー,およびその下流で脳脊髄液(CSF)の排出口となる硬膜リンパ系の存在が明らかになり,Aβやタウの新規除去経路のひとつとして,AD発症への関連や治療標的としての可能性が注目されている.そこで本稿では,グリアリンパ系/硬膜リンパ系によるクリアランス,これらの調節に関与する要因,およびADの病態やリスク因子に依存した変化について概説するとともに,今後の研究課題についても考察したい.
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