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第1土曜特集 生体システムのレジリエンス――神経–免疫–内分泌連関から探る適応と修復のメカニズム
神経変性疾患における生体システム連関
-――アルツハイマー病を中心に
Biosystems linkage in neurodegenerative diseases
――Focusing on Alzheimer’s disease
富田 泰輔
1
Taisuke TOMITA
1
1東京大学大学院薬学系研究科機能病態学教室
キーワード:
アルツハイマー病(AD)
,
血液バイオマーカー
,
血液脳関門(BBB)
,
グリア細胞
,
炎症
Keyword:
アルツハイマー病(AD)
,
血液バイオマーカー
,
血液脳関門(BBB)
,
グリア細胞
,
炎症
pp.67-72
発行日 2025年10月4日
Published Date 2025/10/4
DOI https://doi.org/10.32118/ayu295010067
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近年,中枢神経系が侵されるさまざまな神経変性疾患において,末梢臓器の変容が病態の進行や症状に影響を与えることが明らかになってきた.また中枢神経系の病態が血液バイオマーカーによって診断可能であることも示され,各疾患における生体システム連関が注目を浴びるようになっている.特にアルツハイマー病(AD)は中枢のアミロイドβ(Aβ)沈着とタウ病理を中核とする一方,免疫,代謝・内分泌,腸内環境などの全身システムが病態形成と進展に関与する “全身ネットワーク疾患” としての認識が深まりつつある.2023年の抗Aβ抗体医薬品の承認,2024年のAD診断基準であるNIA-AA改訂による生物学的定義づけ,そして2025年には米国で血液を用いた体外診断用医薬品が承認され,AD治療におけるステージングとモニタリングが現実化しつつある.本稿では,ADにおける免疫–脳,末梢臓器–脳の相互作用に注目しながら,早期診断,層別化,介入効果判定に向けた最近の展開をまとめた.

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