Japanese
English
特集 生体膜研究の基礎と応用
脳の脂質異常と神経変性疾患の関連
Dyslipidemia in the brain associated with neurodegeneration
白根 道子
1
Michiko SHIRANE
1
1名古屋市立大学大学院薬学研究科分子生物薬学分野
キーワード:
オルガネラ
,
脂質
,
コレステロールエステル(CE)
,
脳
,
アルツハイマー病(AD)
Keyword:
オルガネラ
,
脂質
,
コレステロールエステル(CE)
,
脳
,
アルツハイマー病(AD)
pp.837-840
発行日 2023年12月23日
Published Date 2023/12/23
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28711837
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神経変性疾患のひとつであるアルツハイマー病(AD)のリスク因子としてアポリポタンパクE(APOE)のバリアントが同定され,新たな病態として脳の脂質代謝不全が示唆されている.近年,AD患者脳,ADモデルマウス脳,iPS細胞由来AD神経細胞でコレステロールエステル(CE)の蓄積が示されている.CEは超疎水性の脂質分子で,高密度リポタンパク質(HDL)や脂肪滴の主成分である.一方,細胞内オルガネラ間の膜接触部位(MCS)のタンパク質であるPDZD8は,脂質輸送活性を有し,エンドソーム成熟を介して神経の健常性維持に働く.筆者らは,PDZD8遺伝子欠損(KO)マウスの脳において,リポファジー不全によるCEの異常蓄積や,記憶,情動の異常を見出した.また,知的障害家系でPDZD8遺伝子変異が知られており,ヒトにおいてもPDZD8は脳機能に重要であることが明らかになっている.CE蓄積の原因メカニズムは,ADを含む神経変性疾患の病態解明につながると期待される.
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