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第1土曜特集 分子基盤に基づくメカノバイオロジーの臨床応用最前線
メカニカルストレスに起因する疾患――治療標的の同定に向けて
メカニカルストレスと疼痛
Mechanical stress and pain
水村 和枝
1,2
Kazue MIZUMURA
1,2
1名古屋大学名誉教授
2日本大学歯学部生理学講座
キーワード:
神経障害性疼痛
,
機械痛覚過敏
,
アロディニア
,
遅発性筋痛(DOMS)
,
伸張性収縮(LC)
Keyword:
神経障害性疼痛
,
機械痛覚過敏
,
アロディニア
,
遅発性筋痛(DOMS)
,
伸張性収縮(LC)
pp.920-925
発行日 2025年9月6日
Published Date 2025/9/6
DOI https://doi.org/10.32118/ayu294100920
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痛みは生体に異常があることを知らせる警告信号として重要であるが,警告信号としての意味を失って衣服が触るだけでも痛い,刺激がないのに痛いという患者を苦しめる過敏状態に陥ることがある.本稿では,触圧覚の感覚受容器(低閾値機械受容器)と,通常,痛みを起こすような刺激に反応する高閾値機械(侵害)受容器を紹介し,炎症時や神経損傷後の神経障害性疼痛にみられる触誘発性アロディニアと機械痛覚過敏における役割を紹介する.また,神経障害性疼痛における異所性疼痛や痛覚過敏における複数の電位依存性Naチャネルの役割も紹介する.さらに,筋に強いメカニカルストレス(MSt)がかかる伸張性収縮(LC)の後に現れる遅発性筋痛(DOMS)の発生に関わる,B2受容体-神経成長因子(NGF)経路と,シクロオキシゲナーゼ(COX)2-グリア細胞由来神経栄養因子(GDNF)経路を紹介する.この発生メカニズムの最初のMStが関わる段階については,今後の研究が待たれる.

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