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特集 骨格筋の再生・維持・適応メカニズムの新知見――最先端研究がもたらしたパラダイムシフト
遅発性筋痛(いわゆる運動後の筋肉痛)はどこまでわかったか
Delayed onset muscle soreness(so-called muscle pain after exercise)
――An update
田口 徹
1
Toru TAGUCHI
1
1新潟医療福祉大学リハビリテーション学部理学療法学科,同運動機能医科学研究所
キーワード:
遅発性筋痛(DOMS)
,
機械痛覚過敏
,
伸張性収縮
,
神経栄養因子
,
イオンチャネル
Keyword:
遅発性筋痛(DOMS)
,
機械痛覚過敏
,
伸張性収縮
,
神経栄養因子
,
イオンチャネル
pp.740-745
発行日 2024年6月8日
Published Date 2024/6/8
DOI https://doi.org/10.32118/ayu289100740
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いわゆる運動後の筋肉痛を “遅発性筋痛(DOMS)” という.DOMSは多くの人々の日常動作や運動習慣,競技パフォーマンスを制限するため,リハビリテーションやスポーツ領域でとりわけ関心が高い.また,力学的負荷(メカニカルストレス)がその発症の引き金になるだけでなく,発症後には痛みを誘発する刺激にもなるため,メカノバイオロジーの研究材料としても興味深い.現在,まことしやかにいわれてきた “DOMS=乳酸説” は影を潜め,DOMS発症に筋損傷/炎症が必ずしも必要でないこともわかってきたが,そのメカニズムの全容はいまだに解明されていない.近年,DOMSモデル動物を用いた研究から,神経栄養因子による痛覚受容器の感作や痛み関連イオンチャネルのモーダルシフトを介した神経化学機構の一端が明らかになりつつある.本稿ではDOMSへの理解を深めるため,その特徴や現時点で得られている知見を整理する.
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