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第5土曜特集 止血・血栓・凝固の最新知見――研究と臨床を繋ぐ
疾患・治療に伴う凝固異常
循環器疾患に伴う後天性フォン・ヴィレブランド症候群
Cardiovascular disease-associated acquired von Willebrand syndrome
堀内 久德
1
Hisanori HORIUCHI
1
1奈良市立看護専門学校
キーワード:
フォン・ヴィレブランド因子(VWF)
,
ずり応力
,
血管異形成
,
大動脈弁狭窄症(AS)
,
機械的補助循環
Keyword:
フォン・ヴィレブランド因子(VWF)
,
ずり応力
,
血管異形成
,
大動脈弁狭窄症(AS)
,
機械的補助循環
pp.819-824
発行日 2025年8月30日
Published Date 2025/8/30
DOI https://doi.org/10.32118/ayu294090819
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大動脈弁狭窄症(AS)患者は消化管出血を伴うことがあり,ハイド症候群とよばれる.狭窄弁部に生じた高ずり応力によってフォン・ヴィレブランド因子(VWF)高分子量多量体の切断が亢進し,VWF高分子量多量体の減少による後天性フォン・ヴィレブランド症候群(AVWS)という止血異常が引き起こされる.また,AS患者では消化管粘膜に易出血性異常血管である血管異形成が多く出現する.そのため,AS症例では消化管出血が引き起こされる.また,AS患者の多くは貧血を呈することが多いが,血管異形成からの小出血と止血の繰り返しがその原因である可能性がある.一方,体外式膜型人工肺(ECMO)やIMPELLA,植え込み型補助人工心臓(LVAD)などの機械的補助循環は,重症循環器疾患の治療に大きく貢献しているが,出血性合併症の頻度が高い.高速回転する回転式ポンプが血流の駆動力であり,同部における高ずり応力のため,ASと比べてはるかに高度のVWF高分子量多量体の分解を伴う.このAVWSが,その出血に大きく寄与していると考えられる.

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