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特集 出血傾向あるいは血栓傾向をきたす血小板減少症と血小板機能異常症
【出血傾向をきたす血小板減少症・機能異常症】
後天性フォン・ヴィレブランド症候群
Acquired von Willebrand syndrome
堀内 久德
1
Hisanori HORIUCHI
1
1東北大学加齢医学研究所基礎加齢研究分野
キーワード:
フォン・ヴィレブランド因子(VWF)
,
ずり応力
,
血管異形成
,
ADAMTS13
Keyword:
フォン・ヴィレブランド因子(VWF)
,
ずり応力
,
血管異形成
,
ADAMTS13
pp.647-651
発行日 2024年2月24日
Published Date 2024/2/24
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28808647
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フォン・ヴィレブランド因子(VWF)は,血小板の血管壁への粘着や血小板凝集に重要な働きをする.VWFは巨大な多量体として産生・放出され,ずり応力依存的に特異的切断酵素であるADAMTS13によって切断される.そして,血液中では80サブユニット以下の多量体として存在するが,高分子量多量体が止血機能に重要である.この機能が後天的に低下して止血異常となるのが,後天性フォン・ヴィレブランド症候群(AVWS)である.腫瘍,自己免疫疾患,薬剤,本態性血小板血症などで報告があるが,まれである.一方,血流中に高ずり応力が発生する大動脈弁狭窄症では,VWF多量体の切断が亢進し,止血に重要なVWF高分子量多量体の減少が生じ,さらに消化管粘膜に易出血性の異常血管である血管異形成が発生し,消化管出血を伴うことがあり,両者の合併はハイド症候群とよばれる.体外式膜型人工肺(ECMO)などの機械的補助循環では,さらに高度のずり応力が血流を作りだすロータリーポンプ内部で発生し,大動脈弁狭窄症と比べてより高度のVWF高分子量多量体の減少が生じる.
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