連載 ケースから学ぶ臨床倫理推論・13
緩和的鎮静のケース
今長谷 尚史
1
Hisashi IMAHASE
1
1自治医科大学附属病院集中治療部
キーワード:
倫理的妥当性
,
相応性
,
意図
,
持続的鎮静
,
間欠的鎮静
Keyword:
倫理的妥当性
,
相応性
,
意図
,
持続的鎮静
,
間欠的鎮静
pp.1159-1163
発行日 2025年6月21日
Published Date 2025/6/21
DOI https://doi.org/10.32118/ayu293121159
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Case 終末期がん患者の苦痛緩和に難渋しているケース
患者は60代の男性.ウイルヒョウのリンパ節腫脹の精査で判明した結腸がんStage Ⅳの初期診断であった.化学療法を行ってきたが,奏効せず,多発骨転移を合併し,緩和的放射線照射まで行った.肝門部への腫瘍浸潤があり,急激に腹水増加,黄疸が進行したため,一時的に入院したが,状態の改善が見込めないため,自宅療養となった.訪問診療・訪問看護を利用し,自宅で終末期を過ごすこととなった.
疼痛ならびに呼吸困難の症状が強く,症状改善のため,腹腔穿刺を行った.経口摂取が困難となっており,鎮痛薬はモルヒネ静注を行った.化学療法の際に使用した皮下埋没型中心静脈ポートがあり,利用した.
モルヒネの持続静注を開始したが,疼痛は残存し呼吸困難の改善には至らなかった.症状を緩和するためになんとかしてほしいと患者・家族が希望しており,持続的な鎮静を行うかどうか検討することとなった.

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