パネル検査と微小残存病変測定

Genome profiling test for hematological malignancies and detection of measurable residual disease

　造血器腫瘍および類縁疾患を対象とした遺伝子パネル検査が保険収載され，今後，初発急性白血病などに対して “分子病型診断” “予後予測” “治療選択” を目的に実用化が進むと考えられる．初発時における遺伝子異常は，腫瘍細胞の治療感受性を規定する重要な因子ではあるが，薬剤代謝などさまざまな因子が各患者の治療反応性に影響している．一方，微小残存病変（MRD）は実際に行われた治療の治療反応性を直接的に評価しうる指標として，急性リンパ性白血病（ALL）や慢性骨髄性白血病（CML）などの治療最適化に用いられている．2025年3月に保険収載された造血器腫瘍遺伝子パネル検査は，同一疾患で1回のみの算定となっており，経時的に評価を行うことは現実的ではなく，遺伝子異常の検出感度としてもMRD測定には不十分である．しかし，遺伝子パネル検査はMRD評価マーカーの検索やMRD測定結果の解釈において，有用な情報となっていくことが期待される．