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第1土曜特集 肥満症――代謝異常から全身性疾患へのパラダイムシフト
総論
肥満症薬物療法の現況
Overview of pharmacotherapy for obesity disease
小幡 佳也
1
,
下村 伊一郎
1
Yoshinari OBATA
1
,
Iichiro SHIMOMURA
1
1大阪大学大学院医学系研究科内分泌・代謝内科学
キーワード:
セマグルチド
,
チルゼパチド
,
オルリスタット
Keyword:
セマグルチド
,
チルゼパチド
,
オルリスタット
pp.934-942
発行日 2025年6月7日
Published Date 2025/6/7
DOI https://doi.org/10.32118/ayu293100934
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2024年2月,高用量GLP-1受容体作動薬(GLP-1 RA)であるセマグルチド(ウゴービ®)が,わが国において約30年ぶりとなる新たな肥満症治療薬として発売された.欧米ではGIP/GLP-1共受容体作動薬(GIP/GLP-1 RA)であるチルゼパチド(ゼップバウンド®)も肥満症治療薬として用いられており,わが国においても2024年12月に製造販売承認を取得し,2025年4月に発売となった.セマグルチド,チルゼパチドの肥満症を対象とした一連の臨床試験は,それぞれSTEPプログラム,SURMOUNTプログラムと称され,いずれの試験においても著明な体重減少効果が認められている.さらに,両薬剤によるさまざまな肥満関連健康障害の改善効果やリスク減少効果が次々と明らかになっている.これらの治療薬の登場により,肥満症治療は大きなパラダイムシフトを迎えているが,これらを単なる “やせ薬” として使用するのではなく,真に必要とする肥満症とともに生きる人たちに対して適切に使用していくことが求められる.

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