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第1土曜特集 肥満症――代謝異常から全身性疾患へのパラダイムシフト
総論
減量・代謝改善手術の現状
Current status of metabolic surgery
佐々木 章
1
Akira SASAKI
1
1岩手医科大学医学部外科学講座
キーワード:
肥満症
,
糖尿病
,
減量・代謝改善手術
,
多職種チーム
Keyword:
肥満症
,
糖尿病
,
減量・代謝改善手術
,
多職種チーム
pp.943-948
発行日 2025年6月7日
Published Date 2025/6/7
DOI https://doi.org/10.32118/ayu293100943
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世界の肥満人口が10億人を超えたことが最新の研究で明らかになった1).肥満は,多くの健康障害と関連し,医療費の増大やオベシティスティグマなども問題となっている2).日本人は欧米人と比較して,体重増加の際に内臓脂肪や異所性脂肪への蓄積をきたしやすく,BMIが軽度でも肥満関連健康障害を発症することが報告されている.肥満症の治療目標は,体重の正常化ではなく,肥満関連健康障害の予防と改善であり,減量目標の達成のために,食事療法,運動療法,認知行動療法を行い,未達成の場合には薬物療法や外科療法が選択肢となる3).肥満者に対する外科療法は,長期的な減量効果と術後早期から糖代謝などの改善が観察されることから,減量・代謝改善手術(metabolic surgery)とよばれ2,4),肥満症・糖尿病の治療戦略は大きな変換期を迎えていている.注意すべき点は,減量・代謝改善手術は肥満症治療のゴールではなく,生涯にわたる生活習慣の改善と長期的な術後フォローアップ体制が必要であり,多職種チーム医療が必須である.

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