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第1土曜特集 健康危機への備えと対応――パンデミックと能登半島地震を踏まえた社会とシステムのあり方
社会・経済・制度政策の視点から
健康危機への対応と法治主義
Management of the health crisis and the concept of rule of law
山田 哲史
1
Satoshi YAMADA
1
1京都大学大学院法学研究科附属法政策共同研究センター
キーワード:
行動制限
,
法治主義
,
法律の留保
,
比例原則
,
裁判による救済
Keyword:
行動制限
,
法治主義
,
法律の留保
,
比例原則
,
裁判による救済
pp.107-111
発行日 2025年4月5日
Published Date 2025/4/5
DOI https://doi.org/10.32118/ayu293010107
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日本国憲法下においても,感染症の拡大防止などの正当な目的の下に,その目的と関連性を有する措置であると認められる場合には,国民の行動制限を,国会が制定する法である法律に基づいて行うことができる.もっとも,法律を制定するためには比較的長い時間を費やす必要がある.感染症の拡大防止などのように,迅速な対応が求められるとともに,しかも,専門家にも規律対象についての科学的知見が十分に得られていない段階から対応をとる必要がある場合には,上記のような適正な法律による規律を求める法治主義の要請との調整をどのように図るかが問題となる.本稿では,新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックの際に,法治主義の母国でもあるドイツにおいてどのような対応と評価がなされたかについて紹介することを通じて,一定の場合には法治主義の要請が緩和される可能性がある反面,裁判を通じた権利救済を確保する必要があることを提示している.

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