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第1土曜特集 健康危機への備えと対応――パンデミックと能登半島地震を踏まえた社会とシステムのあり方
社会・経済・制度政策の視点から
文化的デフォルトとパンデミック対応
Cultural defaults and responses to the pandemic
内田 由紀子
1
,
中村 沙椰
2
Yukiko UCHIDA
1
,
Saya NAKAMURA
2
1京都大学人と社会の未来研究院
2同人間・環境学研究科 修士課程
キーワード:
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)
,
パンデミック
,
文化的デフォルト
,
文化心理学
Keyword:
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)
,
パンデミック
,
文化的デフォルト
,
文化心理学
pp.112-115
発行日 2025年4月5日
Published Date 2025/4/5
DOI https://doi.org/10.32118/ayu293010112
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新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の大流行がはじまって5年が経過した.日本,台湾,韓国の対応は米国を上回っていたとされており,実際の死者数も米国よりかなり少なかった.複数の要因がこの事態を招いたと思われるが,文化的な心理的デフォルトも大きな要因である.文化的デフォルトとは,それぞれの文化内で,常識的で合理的な当たり前の思考・行動様式として定着しているものを指す.米国では,楽観主義,独自性と個人の選択重視などの文化的デフォルトが存在する.これに対して日本などの東アジアでは現実主義,待機と調整,社会的規制などの文化的デフォルトが存在する.本稿では,パンデミックに関連する米国と東アジアの文化的差異に関する文化心理学の知見を統合し,危機的状況下での行動における意味づけを理解することの重要性を論じる.そして将来のパンデミックなどの課題に対して,意思決定者が文化的デフォルトをどのように考慮すべきかの指針を示す.

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