Japanese
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第5土曜特集 脳科学研究が推進する うつ病の病態・診断・治療の発展
治療
抗うつ薬の歴史と最近の進歩
The history of antidepressants and recent advances
竹林 実
1
Minoru TAKEBAYASHI
1
1熊本大学大学院生命科学研究部神経精神医学講座
キーワード:
三環系抗うつ薬(TCA)
,
選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)
,
ケタミン
,
神経ステロイド
,
サイケデリックス(精神展開薬)
Keyword:
三環系抗うつ薬(TCA)
,
選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)
,
ケタミン
,
神経ステロイド
,
サイケデリックス(精神展開薬)
pp.1140-1145
発行日 2025年3月29日
Published Date 2025/3/29
DOI https://doi.org/10.32118/ayu292131140
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抗うつ薬の開発には,偶然の発見から新たな病態仮説が生まれ,それに基づいた改良と進化が繰り返されてきた歴史がある.三環系抗うつ薬(TCA)やケタミンの臨床効果を通じて,モノアミン仮説やグルタミン酸仮説が提唱され,これにより,選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)の普及やサイケデリックス(精神展開薬)への関心,さらにセロトニン2受容体アゴニストの創薬へと進展している.また,GABA系に作用する神経ステロイドも臨床応用されつつある.うつ病の中核群における疾患の本態がいまだ解明されていないことから,疾患修飾薬(disease-modifying drug)の開発は現段階では困難であり,今後もしばらくは症状緩和薬(symptomatic drug)の開発が中心となると予測される.このことから,各症状緩和薬における効果を予測するバイオマーカーの開発や,患者層の適切な層別化が今後の重要な課題である.

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