特集 神経系に作用する薬物マニュアル1998
Ⅴ.その他
抗うつ薬
本橋 伸高
1
Nobutaka Motohashi
1
1国立精神・神経センター武蔵病院
pp.508-511
発行日 1998年10月15日
Published Date 1998/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425901653
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抗精神病薬開発中に生まれた三環構造を有するimipramineと,結核治療中に気分が高揚することから偶然生まれたiproniazidが最初の抗うつ薬であり,前者はノルアドレナリンやセロトニンの再取り込み阻害作用を有すること,後者はモノアミンの分解酵素であるモノアミン酸化酵素(MAO)の阻害作用を有することが判明した1)。従って,以後の抗うつ薬の開発はモノアミンの再取り込み阻害作用を有するものか,MAO阻害作用を有するものが中心になっている。抗うつ薬は様々な神経伝達物質受容体にも作用するが,それらは主として副作用と関係すると考えられている。ムスカリン性アセチルコリン受容体は抗コリン作用(霧視・口渇・洞性頻脈・便秘・尿閉など)と,ヒスタミンH1受容体は抗ヒスタミン作用(鎮静・眠気など)と,さらには,α1-アドレナリン受容体は交感神経遮断作用(起立性低血圧・鎮静など)とそれぞれ関係する1-4)。
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