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第5土曜特集 脳科学研究が推進する うつ病の病態・診断・治療の発展
診断
うつ病におけるmicroRNAの役割,バイオマーカーの可能性
The meaningful of microRNA in major depressive disorders, and its possibility of biomarker
吉野 祐太
1
Yuta YOSHINO
1
1愛媛大学医学部附属病院精神科
キーワード:
うつ病
,
microRNA(miRNA)
,
エピジェネティクス
Keyword:
うつ病
,
microRNA(miRNA)
,
エピジェネティクス
pp.1108-1113
発行日 2025年3月29日
Published Date 2025/3/29
DOI https://doi.org/10.32118/ayu292131108
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うつ病を含む精神疾患はICD-10,DSM-5といった診断基準を用いて診断されるが,症状,その持続期間を中心に診断され,生物学的な要因が考慮されないことから,血液などで簡便に測定できるバイオマーカーの開発が望まれる.miRNA(microRNA)はncRNA(non-coding RNA)のひとつであり,遺伝子発現を抑制的に制御する機能を持つ.現在までに,健常対照者と比較して,うつ病患者の死後脳,血液でmiRNAが上昇もしくは低下するという双方が報告されている.臨床で行う血液検査と同様の手技で採取された血液からmiRNAを測定できることから,侵襲性が低く,簡便であるという利点を持つ.しかし,現在の診断基準を用いた診断では生物学的な均一性は担保されないなどの限界点があることから,現在のところ,血液miRNAに関して臨床現場で使用できる有用なバイオマーカーは存在しないというのが筆者の結論である.

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