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特集 うつ病のバイオマーカー開発の試み
うつ病のメタボローム解析によるバイオマーカー開発の試み
Development of Blood Biomarker of Depression using Metabolome Analysis
松島 敏夫
1,2
,
瀬戸山 大樹
3
,
加藤 隆弘
1,2
Toshio Matsushima
1,2
,
Daiki Setoyama
3
,
Takahiro A. Kato
1,2
1九州大学大学院医学研究院精神病態医学
2九州大学病院精神科神経科・気分障害ひきこもり外来
3九州大学病院検査部
1Department of Neuropsychiatry, Graduate School of Medical Sciences, Kyushu University, Fukuoka, Japan
2Outpatient Clinic for Mood Disorder and Hikikomori, Kyushu University Hospital
3Department of Laboratory, Kyushu University Hospital
キーワード:
うつ病
,
depression
,
血液メタボローム解析
,
blood metabolome analysis
,
血液バイオマーカー
,
blood biomarker
,
自殺
,
suicide attempt
Keyword:
うつ病
,
depression
,
血液メタボローム解析
,
blood metabolome analysis
,
血液バイオマーカー
,
blood biomarker
,
自殺
,
suicide attempt
pp.130-136
発行日 2024年2月15日
Published Date 2024/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405207185
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抄録
メタボローム解析は質量分析を用いて代謝物を網羅的に測定するオミクス解析の一種である。生体内の代謝物は,複雑な細胞環境の最終表現型としてさまざまな生理機能を反映しており,その経時的変化を捉えることができると考えられる。九州大学病院「気分障害ひきこもり外来」では血液メタボローム解析を用いたうつ病をはじめとする気分障害の病態解明,客観的バイオマーカー開発,治療法開発を進めている。本稿では,血液メタボローム解析について概説し,筆者らが推進している抑うつ症状・自殺などに関連した血液メタボローム解析研究とその成果を紹介する。筆者らはこれまでに抑うつ重症度に関連する3-ヒドロキシ酪酸,自殺念慮に相関するキヌレニン系代謝物,さらには性格傾向に関連するいくつかの代謝物を予備的に同定してきた。こうした研究を基にした社会実装により,うつ病を客観的に評価できるシステムが導入されることで,うつ病への早期発見・早期介入の実現が期待される。
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