Japanese
English
特集 うつ病のバイオマーカー開発の試み
うつ病のバイオマーカーとしての睡眠脳波
Sleep EEG as a Biomarker in Depression
鈴木 正泰
1
Masahiro Suzuki
1
1日本大学医学部精神医学系精神医学分野
1Department of Psychiatry, Nihon University School of Medicine, Tokyo, Japan
キーワード:
うつ病
,
depression
,
生物学的指標
,
biomarker
,
睡眠脳波
,
sleep EEG
,
終夜ポリグラフ
,
polysomnography
,
レム睡眠
,
REM sleep
Keyword:
うつ病
,
depression
,
生物学的指標
,
biomarker
,
睡眠脳波
,
sleep EEG
,
終夜ポリグラフ
,
polysomnography
,
レム睡眠
,
REM sleep
pp.172-178
発行日 2024年2月15日
Published Date 2024/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405207192
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抄録
うつ病と睡眠との間には密接な関連があることから,うつ病でみられる睡眠の特徴を抽出し,それをバイオマーカーとして利用することが考えられてきた。うつ病患者に終夜ポリグラフ検査を実施すると,睡眠の持続性の低下,徐波睡眠の減少,レム睡眠の脱抑制を認める。ミクロ構造の変化としては睡眠の不安定性や脳部位間の機能的結合性の低下を示唆する所見などが報告されている。これらの中には診断マーカーもしくは素因マーカーとしての利用が期待できるものもあるが,現時点で確立した指標はない。その背景には,睡眠検査のゴールドスタンダードである終夜ポリグラフ検査の煩雑さやコストの問題が少なからず関連していたものと推測される。近年,高精度の睡眠脳波を自宅で簡便に記録できるポータブル脳波計も開発されており,今後このようなデバイスの利用により,睡眠脳波を用いたうつ病のバイオマーカー開発が促進されることが期待される。
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