Japanese
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第5土曜特集 脳科学研究が推進する うつ病の病態・診断・治療の発展
病態
うつ病とアストロサイト
The role of astrocytes in depression
梶谷 直人
1
Naoto KAJITANI
1
1熊本大学大学院生命科学研究部附属健康長寿代謝制御研究センター
キーワード:
アストロサイト
,
グリオトランスミッター
,
ATP
,
Kir4.1
,
グリンパティックシステム
,
AQP4
Keyword:
アストロサイト
,
グリオトランスミッター
,
ATP
,
Kir4.1
,
グリンパティックシステム
,
AQP4
pp.1059-1063
発行日 2025年3月29日
Published Date 2025/3/29
DOI https://doi.org/10.32118/ayu292131059
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アストロサイトは,神経細胞の支持に加え,血液–脳関門の維持,神経伝達調節,脳内環境の恒常性維持など,多様な機能を担う細胞である.近年,アストロサイトの機能異常がうつ病の病態に関与する可能性が示唆され,注目を集めている.本稿では,うつ病におけるアストロサイトの役割に関する最新の知見をまとめた.死後脳研究やモデル動物を用いた研究では,アストロサイトの密度や機能分子の変化,グリオトランスミッターATPの欠乏,KチャネルKir4.1の機能亢進などが報告されている.また,グルタミン酸神経伝達系,グリンパティックシステム,アストロサイト由来タンパク質(GFAP,S100B)などを指標としたバイオマーカーへの可能性について紹介した.アストロサイト研究のさらなる進展は,うつ病の病態解明・診断,そして新たな治療法開発につながる重要な一歩となることが期待される.

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