Japanese
English
特集 精神疾患の病理機構
ミクログリアと精神疾患
Microglia and psychiatric disorders
加藤 隆弘
1
,
神庭 重信
1,2
Kato Takahiro A
1
,
Kanba Shigenobu
1,2
1九州大学大学院 医学研究院 精神病態医学分野
2九州大学 先端融合医療レドックスナビ研究拠点
pp.37-42
発行日 2014年2月15日
Published Date 2014/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425101574
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
1950年代にハロペリドール・クロルプロマジンに抗精神病作用が発見され,これらの薬剤が神経ドーパミンD2受容体拮抗作用を有するというエビデンスから,神経伝達の異常こそが精神疾患における病態基盤であるという説がドグマとなり,本仮説に基づく生物学的精神医学研究が進められてきたが,いまだ,その病理機構は十分には解明されていない。脳内には神経伝達の主役ニューロン(神経細胞)以外にも,アストロサイト・オリゴデンドロサイト・ミクログリアといったグリア細胞が生息しており,実際にはニューロンよりもグリアのほうが圧倒的に多く存在している。従来,脇役とみなされていたグリア細胞が精神疾患の病態に関与するという可能性が近年注目されており,筆者らはミクログリアに着目した精神薬理学的研究を進めてきた。興味深いことに,ミクログリア活性化抑制作用を有する抗生物質ミノサイクリンによる向精神作用が国内外で報告されており,ミクログリアが精神疾患研究の新たなターゲットになりつつある。本稿では精神疾患におけるミクログリア仮説を国内外の最新の研究知見と共に紹介する。
Copyright © 2014, THE ICHIRO KANEHARA FOUNDATION. All rights reserved.