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連載 自己指向性免疫学の新展開――生体防御における自己認識の功罪・Vol.28
T細胞が認識する肥満特有の自己指向性免疫の解明
Elucidation of obesity-specific self-referential immune perception by T cells
遠藤 裕介
1
Yusuke ENDO
1
1かずさDNA研究所オミックス医科学研究室
キーワード:
肥満
,
Th17バイアス
,
ACC1
,
1-オレオイル-リゾホスファチジルエタノールアミン
Keyword:
肥満
,
Th17バイアス
,
ACC1
,
1-オレオイル-リゾホスファチジルエタノールアミン
pp.989-994
発行日 2025年3月22日
Published Date 2025/3/22
DOI https://doi.org/10.32118/ayu292120989
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SUMMARY
近年,食習慣,生活習慣の変化や運動不足に伴い,世界規模で “肥満” 患者が増加している.肥満,特に内臓脂肪蓄積を伴う肥満症は,糖尿病,脂質異常症,高血圧などのいわゆる生活習慣病と密接に関わっており,今後の医療問題の根本とも考えられる.これらの生活習慣病を合併した状態はメタボリックシンドロームとよばれ,動脈硬化や心筋梗塞などの心血管系疾患のリスクファクターとして規定されている.また,肥満は万病のもとと形容されるように,代謝疾患以外にも多くの疾患の危険因子であることがわかってきた.特に,内臓脂肪の炎症を基盤とする2型糖尿病は,中性脂質を豊富に含んだ脂肪滴を含有する脂肪細胞と自然免疫細胞のマクロファージとの相互作用が本態であることが示されているが,こうした脂肪組織の炎症に端を発する疾患とは別に,肥満は自己免疫疾患やアレルギー疾患など免疫システムの暴走が招く疾患にも深く影響する.その一因として,末梢二次リンパ組織や皮膚・肺におけるTh17指向性(Th17バイアス)があげられる.本稿では,肥満特有の自己指向性免疫について,Th17バイアスと脂質代謝を中心に概説したい.

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