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連載 自己指向性免疫学の新展開――生体防御における自己認識の功罪・Vol.2
リソソーム核酸蓄積病から学ぶ自己指向性免疫応答
Decoding lysosomal storage disease to understand self-referential immune responses
三宅 健介
1
Kensuke MIYAKE
1
1東京大学医科学研究所感染遺伝学分野
キーワード:
リソソーム
,
Toll様受容体(TLR)
,
自然免疫
Keyword:
リソソーム
,
Toll様受容体(TLR)
,
自然免疫
pp.847-851
発行日 2024年6月15日
Published Date 2024/6/15
DOI https://doi.org/10.32118/ayu289110847
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SUMMARY
核酸特異的Toll様受容体(TLR)はリソソームに局在し,病原体由来核酸だけでなく,自己由来核酸にも応答する.核酸特異的TLRの自己由来核酸に対する自己指向性免疫応答は,リソソームに核酸が蓄積するリソソーム核酸蓄積病の病態を誘導する.たとえば,SLC29A3異常症ではリソソームから細胞質へヌクレオシドを輸送するSLC29A3の機能低下によりリソソームにヌクレオシドが蓄積する.蓄積したヌクレオシドがTLR7,TLR8を活性化し,組織球症というマクロファージの蓄積を特徴とする病態を誘導する.また,Phospholipase D3(PLD3),PLD4などの核酸分解酵素の二重欠損においても蓄積した核酸によってcGAS-STING,TLR7,TLR9が活性化され,全身性エリテマトーデス様の病態が誘導される.蓄積する核酸・核酸代謝産物によって活性化される核酸センサーが異なり,結果として病態が異なる.このような解析はリソソーム核酸蓄積病の病態解明ばかりでなく,新規治療薬開発に資すると期待される.
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