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連載 自己指向性免疫学の新展開――生体防御における自己認識の功罪・Vol.23
白血球レセプター複合体の自己指向性免疫学
Self-referential immune perception of leukocyte receptor complexes(LRC)
長谷川 玄
1,2
,
平安 恒幸
3,4
Gen HASEGAWA
1,2
,
Kouyuki HIRAYASU
3,4
1金沢大学医薬保健研究域医学系免疫学
2恵寿総合病院
3金沢大学先進予防医学研究科免疫進化学
4同センター免疫・マイクロバイオーム部門
キーワード:
白血球レセプター複合体(LRC)
,
LILR
,
KIR
,
免疫逃避
,
内在性リガンド
Keyword:
白血球レセプター複合体(LRC)
,
LILR
,
KIR
,
免疫逃避
,
内在性リガンド
pp.518-523
発行日 2025年2月8日
Published Date 2025/2/8
DOI https://doi.org/10.32118/ayu292060518
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SUMMARY
白血球レセプター複合体(LRC)は,ヒト19番染色体19q13.4に位置する免疫受容体群であり,遺伝的・機能的な多様性に富むペア型受容体LILRおよびKIRを中心に構成される.多様性獲得の背景には,感染症をはじめとする強い選択圧の存在が想定されており,免疫システムにおける重要な遺伝子群として注目されている.抑制性受容体は主にHLAを認識し,自己寛容の誘導や病原体の免疫逃避に関与することが知られている.一方,活性化受容体は外来抗原の認識や免疫応答の誘導に加え,内在性リガンドを介した恒常性維持にも寄与することが近年明らかになってきた.LRCは治療標的としても注目されており,免疫逃避機構の解除を目的に抑制性KIRを阻害する方法や,CAR-NKへの応用が進められている.また,活性化受容体による抑制性ITAM(ITAMi)が免疫応答の調節に関与することが示唆されている.免疫活性を複雑に調節するLRCには,リガンドが解明されていない受容体も複数存在し,その全容解明に向けた研究が進められている.
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