Japanese
English
特集 概日時計が制御する多面的な生理機構
疼痛疾患における概日リズム
Circadian exacerbation of pain disorders
小柳 悟
1
Satoru KOYANAGI
1
1九州大学大学院薬学研究院薬剤学分野
キーワード:
慢性疼痛疾患
,
神経障害性疼痛
,
疼痛過敏
,
グリア細胞
,
時計遺伝子
Keyword:
慢性疼痛疾患
,
神経障害性疼痛
,
疼痛過敏
,
グリア細胞
,
時計遺伝子
pp.847-852
発行日 2025年3月8日
Published Date 2025/3/8
DOI https://doi.org/10.32118/ayu292100847
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痛みは,組織の損傷に対する警告や危険から回避するための重要な感覚情報であるが,“痛みが3カ月以上持続する” または “通常の治療期間を超えて持続する痛み” は “慢性疼痛” と定義され,高齢者における有病率は20%近くに達する.慢性疼痛の原因は多岐にわたるが,その多くは夜間から早朝にかけて痛みが増悪する特徴を示す.慢性疼痛のなかでも神経障害性疼痛は,衣服が肌に触れるような軽い刺激でも激しい痛みを引き起こす “アロディニア(疼痛過敏)” を特徴とし,患者のQOLを著しく低下させているが,その症状も1日のなかの特定の時間帯に悪化する.最近の研究で,概日時計の分子機構と疼痛の発症や増悪につながるシグナル経路との関わりが明らかにされつつあり,新たな鎮痛標的としての評価・応用が期待される.

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