Japanese
English
特集 時間生物学の新展開
時計遺伝子発現に基づいたヒトの概日時計評価
Assessment of the human circadian clock on the basis of clock gene expression
明石 真
1
Akashi Makoto
1
1山口大学時間学研究所時間生物学研究室
キーワード:
概日時計
,
時計遺伝子
,
メラトニン
,
体毛
,
睡眠障害
Keyword:
概日時計
,
時計遺伝子
,
メラトニン
,
体毛
,
睡眠障害
pp.569-573
発行日 2016年12月15日
Published Date 2016/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425200554
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ヒトを含むほとんどすべての生物は概日時計を有している。多くの研究報告により,概日時計によって生じる行動生理機能の概日リズムが,環境(あるいは社会や生活)における1日のリズムから慢性的に脱同調を起こすと,睡眠障害のみならず多様な現代疾患の発症リスクになることがわかってきた。それにもかかわらず,夜勤労働に代表されるように,われわれの生活環境や生活習慣において,慢性的な小さな時差ぼけ(社会的時差ぼけ)が頻繁に発生している。したがって,簡易で高精度の概日時計評価が可能になれば,疾患の予防と治療に貢献できる可能性がある。また,概日位相の情報は,個人の体内時刻に基づいた医療行為(時間医療)を効果的に実施するためにも必要である。従来のメラトニン濃度測定による概日位相推定は,強力であるが限界も存在するため,時計遺伝子発現測定に基づいた概日位相推定法はこれを補うことができるかもしれない。この概日位相推定法の臨床的応用例として,睡眠日誌や行動解析では顕在化しない“潜在的な概日リズム睡眠障害”の検出に利用できる可能性がある。
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