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第1土曜特集 神経変性疾患の分子病態解明と治療法開発
疾患別の最新研究
バイオマーカーからみたパーキンソン病の病態
Pathophysiology of Parkinson’s disease from the biomarkers
波田野 琢
1
,
服部 信孝
1
Taku HATANO
1
,
Nobutaka HATTORI
1
1順天堂大学大学院医学研究科神経学
キーワード:
パーキンソン病
,
α-シヌクレイン(aS)
,
ニューロフィラメント軽鎖(NfL)
,
ドパミントランスポーター
,
PET
,
MRI
Keyword:
パーキンソン病
,
α-シヌクレイン(aS)
,
ニューロフィラメント軽鎖(NfL)
,
ドパミントランスポーター
,
PET
,
MRI
pp.705-711
発行日 2025年3月1日
Published Date 2025/3/1
DOI https://doi.org/10.32118/ayu292090705
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パーキンソン病(PD)は,運動症状と非運動症状の両面にわたる多彩な症状を呈する神経変性疾患であり,その基盤となる病理学的特徴としてα-シヌクレイン(aS)の異常凝集が知られている.本稿では,遺伝子バイオマーカー,体液バイオマーカー,画像バイオマーカーを中心に,PDの病態評価や診断精度向上に向けた研究の進展を概観する.遺伝子バイオマーカーでは,SNCA,LRRK2,GBA1などが重要なリスク因子として注目され,これらに基づく疾患修飾療法の開発が進行中である.体液バイオマーカーに関しては,髄液中のaSシードを増幅するaS-SAAは革新的な技術開発であり,疾患鑑別において大きな進展となった.画像バイオマーカーとしては,神経メラニン画像やダットスキャンに加え,新たに開発されたPETプローブが,aS凝集の検出や認知機能障害の層別化に寄与する可能性を持つ.さらに,最近提案された生物学的病期分類(biological staging)は,バイオマーカーを統合的に活用し,従来の臨床症状に基づく分類を補完するものである.具体的には,aS-SAAや画像診断,遺伝子背景を組み合わせたNSD-ISSやSynNeurGeシステムが,レビー小体病の病態を生物学的に捉える枠組みとして提唱されている.一方で,コストや侵襲性,検査の再現性といった課題が残されており,感度・特異度の高い非侵襲的バイオマーカーの開発が求められている.本稿では,これらのバイオマーカーの進展がPDの病態解明や診断精度の向上にどのように寄与しうるかを論じるとともに,今後の研究課題について展望する.

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