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第1土曜特集 神経変性疾患の分子病態解明と治療法開発
疾患別の最新研究
パーキンソン病に対する疾患修飾療法の開発の現状
Disease modifying therapy up to date for Parkinson’s disease
池中 建介
1
Kensuke IKENAKA
1
1大阪大学大学院医学系研究科神経内科
キーワード:
パーキンソン病(PD)
,
疾患修飾療法
,
α-シヌクレイン(αSyn)
,
バイオマーカー
Keyword:
パーキンソン病(PD)
,
疾患修飾療法
,
α-シヌクレイン(αSyn)
,
バイオマーカー
pp.712-716
発行日 2025年3月1日
Published Date 2025/3/1
DOI https://doi.org/10.32118/ayu292090712
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パーキンソン病(PD)は,ドパミン作動性ニューロンの減少とα-シヌクレイン(αSyn)凝集が原因となる進行性神経変性疾患で,運動・非運動症状が患者の生活の質を著しく低下させる.現行のドパミン補充療法では症状改善がみられるものの進行抑制は困難であり,疾患修飾療法の開発が重要視されている.疾患修飾療法は,①αSyn凝集の抑制(抗体療法,ワクチン,低分子化合物),②ミトコンドリア機能障害の改善(抗酸化薬,LRRK2阻害薬),③細胞治療(幹細胞移植,神経栄養因子投与),④遺伝子治療,⑤神経炎症抑制(GLP-1受容体作動薬)の5つ程度があげられる.過去の臨床試験では,prasinezumabや抗LRRK2阻害薬が疾患進行抑制の可能性を示したが,統計的有意差には至らず,さらなる研究が求められている.現在,130件以上の治験が進行中で,αSynワクチン療法(UB-312)やGLP-1受容体作動薬(エキセナチド),iPSC(人工多能性幹細胞)療法などが注目されている.また,信頼性の高いバイオマーカー(Seeding Amplification Assayなど)の開発が成功の鍵となる.今後の研究により,PDの進行抑制と生活の質向上が期待される.

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