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特集 健康日本21(第三次)の健康づくり戦略――医療者へのメッセージ
こころの健康
-――心理的苦痛の軽減を通して健康寿命の延伸を目指す
Mental health
――Aiming to extend healthy life expectancy through the alleviation of psychological distress
西 大輔
1
Daisuke NISHI
1
1東京大学大学院医学系研究科精神保健学分野
キーワード:
健康日本21(第三次)
,
こころの健康
,
心理的苦痛
,
トラウマインフォームドケア(TIC)
,
心のサポーター
Keyword:
健康日本21(第三次)
,
こころの健康
,
心理的苦痛
,
トラウマインフォームドケア(TIC)
,
心のサポーター
pp.637-639
発行日 2025年2月22日
Published Date 2025/2/22
DOI https://doi.org/10.32118/ayu292080637
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本稿では,健康日本21(第三次)におけるこころの健康の中核的目標である “心理的苦痛を抱える者の減少” について,その重要性と関連する対策を述べる.心理的苦痛を抱える者の割合は高く,心理的苦痛は健康寿命にも影響することが研究から明らかにされている.その対策としてエビデンスがあるものにインターネット認知行動療法があり,医療機関で患者に情報提供することも可能である.また,心理的苦痛の重要な関連要因として子ども期逆境体験(ACE)があり,その体験率の高さや影響の大きさから近年注目されているトラウマインフォームドケア(TIC)についても概説する.さらに,厚生労働省が推進している心のサポーターについても紹介する.“こころの健康なしに健康なし” という言葉が示すように,こころの健康は身体の健康と密接に関連し,身体疾患の予防や健康寿命の延伸にも必要なものであり,今後,ますますその重要性が広く認識されることが期待される.
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