Japanese
English
TOPICS 医動物学・寄生虫学
トコジラミの蔓延と医療施設における対策
Bed bug infestation and control measures in medical facilities
橋本 知幸
1
Tomoyuki HASHIMOTO
1
1一般財団法人日本環境衛生センター
pp.239-240
発行日 2025年1月18日
Published Date 2025/1/18
DOI https://doi.org/10.32118/ayu292030239
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生態と被害の特徴
トコジラミは本来,寝室を中心に被害をもたらす昆虫である.翅がなく,分布拡大はもっぱら人・物の移動に依存するが,栄養は血液のみで,飢餓に強く,水がなくても生きながらえる.孵化したばかりの一齢幼虫から雌雄成虫まで人から吸血し,屋内に侵入すると年中活動し,吸血被害が継続する(図1).形態は背腹に扁平で,昼間は隙間に潜んでいる.夜間暗くなると,人が発する呼気,体温などに反応し,徘徊して吸血にやってくる.潜伏場所から速やかに吸血源に到達できることから,寝具の周囲に定着しやすい.しかし,密度が高まってくると,隠れきれない個体が徐々に離れた場所に潜伏し,ホットスポットを形成するようになる.潜伏場所では吸血後に排泄される血糞の跡が多数付着するので,調査の際はこの血糞痕を頼りに探索する.吸血の際には皮膚には上らず,露出した肌に口吻を伸ばし,人が動いた時にすぐに離れられる体勢を取ることが多い.
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