Japanese
English
TOPICS 生理学
活性酸素が記憶学習に必要であることの解明
Essential roles of reactive-oxygen species for memory and learning
柿澤 昌
1
Sho KAKIZAWA
1
1東京都健康長寿医療センター研究所記憶神経科学
pp.237-238
発行日 2025年1月18日
Published Date 2025/1/18
DOI https://doi.org/10.32118/ayu292030237
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“悪玉因子” 活性酸素が記憶学習に関与する可能性
記憶学習は,個体の新たな環境への適応や合理的行動に必要な脳機能である.これまでにさまざまな分子の記憶学習やその細胞レベルでの基盤とされるシナプス可塑性への関与が示されてきたが,たとえば,細胞内Ca2+濃度上昇は一過的で,一酸化窒素(NO)やcGMP,イノシトール三リン酸などは速やかに代謝されるため,これらの分子のみでは記憶学習やシナプス可塑性の持続性を十分に説明できない.一方,活性酸素種(reactive oxygen species:ROS)は老化や生活習慣病の因子として知られるが,近年,複数の産生酵素の哺乳類脳での発現が報告されている.また,ROSは反応性が高く分子寿命は短いが,共有結合性の酸化修飾を通じ,標的分子に持続的に影響を及ぼしうる.そこで筆者らの研究グループは,ROSが記憶学習やシナプス可塑性の持続性に関与すると考え,研究を行った1).
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