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第1土曜特集 ゲノム解析時代の血液腫瘍学
多発性骨髄腫におけるゲノム異常と臨床応用
Genomic abnormalities of multiple myeloma and its clinical implications
金森 貴之
1
Takashi KANAMORI
1
1名古屋市立大学医学部附属西部医療センター血液・腫瘍内科
キーワード:
個別化医療
,
多発性骨髄腫(MM)
,
クリニカルシーケンス
Keyword:
個別化医療
,
多発性骨髄腫(MM)
,
クリニカルシーケンス
pp.128-132
発行日 2025年1月4日
Published Date 2025/1/4
DOI https://doi.org/10.32118/ayu292010128
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多発性骨髄腫(MM)は,その進展過程のなかで複数のクローン(サブクローン)が存在し,ゲノム的に非常に不均一(heterogeneity)な性質を有する集団である1).一個体の中での骨髄と髄外病変では,その遺伝学的プロファイルが異なるとされ2),このような性質がゲノム異常を基にした医療を実行する過程で障壁となると考えられる.現在でもR-ISS(Revised International Staging System)に代表されるような,MM発症に関わる部分のマクロな異常(染色体異常やコピー数変化)がいまだ予後に対して大きなインパクトを有し,ミクロな異常である塩基レベルのゲノム異常がどこまでMMの予後や治療選択に影響を与えるかについてはまだ確定的なものはなく,研究段階といえる.本稿では,MMの病態におけるゲノム異常・解析の現状と予後との関連性,今後の治療選択と臨床応用への展望について,基礎研究や臨床試験の結果を交えつつレビューする.
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