Japanese
English
第1土曜特集 ゲノム解析時代の血液腫瘍学
成人T細胞白血病・リンパ腫におけるゲノム・エピゲノム異常と臨床的有用性
Genetic and epigenetic abnormalities and clinical utility in adult T-cell leukemia-lymphoma(ATL)
山岸 誠
1
Makoto YAMAGISHI
1
1東京大学大学院新領域創成科学研究科メディカル情報生命専攻感染症ゲノム腫瘍学分野
キーワード:
成人T細胞白血病・リンパ腫(ATL)
,
T細胞受容体(TCR)経路
,
予後予測
,
エピゲノム異常
,
メチル化ヒストン
Keyword:
成人T細胞白血病・リンパ腫(ATL)
,
T細胞受容体(TCR)経路
,
予後予測
,
エピゲノム異常
,
メチル化ヒストン
pp.122-127
発行日 2025年1月4日
Published Date 2025/1/4
DOI https://doi.org/10.32118/ayu292010122
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
近年の解析技術の進歩により,成人T細胞白血病・リンパ腫(ATL)に関連する多彩なゲノム異常が明らかにされている.極めて予後不良なATLは,特にT細胞受容体(TCR)経路/NF-κB経路に高頻度に集積する遺伝子異常が特徴であり,シグナル伝達経路の複雑な活性化がヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV-1)感染T細胞の腫瘍化に重要である.また,腫瘍免疫の回避に関連する異常も明らかにされている.一方,感染細胞のクローン性増殖の様式は症例ごとに異なると想定され,多様なメカニズムによってサブクローン構造が形成され,個々の病態や治療抵抗性に関連すると考えられる.ゲノム異常は臨床病型に影響し,遺伝子異常を組み合わせた予後予測モデルも提案されている.一方,ATLは共通する多くの臨床的特徴を有しており,多様なゲノム異常の背景にある共通する分子病態が存在する.エピジェネティックな異常は遺伝子発現パターンを形成する重要なプロセスであり,エピゲノムの可塑性を標的とした治療法の開発に結びついている.
Copyright © 2025 Ishiyaku Pub,Inc. All Rights Reserved.