Japanese
English
特集 新規がん免疫療法としてのT-cell engagerの進歩と可能性
多発性骨髄腫治療における二重特異性抗体
Bispecific antibodies in the treatment of multiple myeloma
飯田 真介
1
Shinsuke IIDA
1
1名古屋市立大学医薬学総合研究院(医学)生体総合医療学講座血液・腫瘍内科学分野
キーワード:
多発性骨髄腫(MM)
,
二重特異性抗体(bispecific antibody)
,
TCE(T-cell engager)
,
B細胞成熟抗原(BCMA)
,
GPRC5D(G-protein-coupled receptor class 5 member D)
Keyword:
多発性骨髄腫(MM)
,
二重特異性抗体(bispecific antibody)
,
TCE(T-cell engager)
,
B細胞成熟抗原(BCMA)
,
GPRC5D(G-protein-coupled receptor class 5 member D)
pp.492-498
発行日 2024年8月17日
Published Date 2024/8/17
DOI https://doi.org/10.32118/ayu290060492
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多発性骨髄腫(MM)の予後は,プロテアソーム阻害薬,免疫調節薬と抗体薬の導入によって著しく改善した.しかし,それら3種の薬剤に抵抗性(TCR)となった患者の生命予後は1年あまりにすぎない.B細胞成熟抗原(BCMA)を標的とした二重特異性抗体(bispecific antibody)は,TCRとなった再発・難治性骨髄腫(RRMM)患者の2/3で奏効し,その半数は完全奏効以上の効果を達成し,長期の奏効につながる画期的な治療である.一方,T細胞活性化に伴うサイトカイン放出症候群(CRS)と,T細胞疲弊と低ガンマグロブリン血症による長期にわたる易感染状態の管理が重要になる.しかし,至適な投与継続期間について検討を要すること,1/3の患者は非奏効であること,高腫瘍量や髄外腫瘤(EMD)を有する患者には効果が不十分であること,さらにantigen escapeによる獲得耐性の問題など,解決すべき課題は多い.
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