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第1土曜特集 ゲノム解析時代の血液腫瘍学
T細胞性急性リンパ性白血病におけるゲノム異常と臨床的有用性
Genomic abnormalities and clinical utility in T-cell acute lymphoblastic leukemia
滝田 順子
1
Junko TAKITA
1
1京都大学大学院医学研究科発達小児科学講座
キーワード:
T細胞性急性リンパ性白血病(T-ALL)
,
ゲノム異常
,
遺伝学的サブタイプ
Keyword:
T細胞性急性リンパ性白血病(T-ALL)
,
ゲノム異常
,
遺伝学的サブタイプ
pp.91-98
発行日 2025年1月4日
Published Date 2025/1/4
DOI https://doi.org/10.32118/ayu292010091
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小児T細胞性急性リンパ性白血病(T-ALL)の治療成績は向上しているものの,非寛解や再発などの難治例は極めて予後不良である.近年の大規模ゲノム解析により,小児T-ALLにおいて重複して変異が生じているがん関連経路や,遺伝子変異,ゲノムコピー数異常,遺伝子発現に特徴づけられる遺伝学的サブタイプが同定され,臨床的意義の検討がなされている.一方,筆者らは次世代シーケンサーを用いた全トランスクリプトーム解析(WTS)により新規の悪性度に関連するSPI1融合遺伝子を同定した.興味深いことに,SPI1融合遺伝子陽性例は他のT-ALLとは異なるメチル化プロファイルを有することが見出された.これらの知見により,従来の免疫表現型や治療反応性に基づいた層別化よりも,さらに精度が高い予後予測が可能となる可能性があり,T-ALLの遺伝学的理解を深めることは,難治性小児T-ALLの治療成績向上に貢献するものと期待される.
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