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第1土曜特集 小児・AYAがんの最前線
小児T-ALLの分子遺伝学的特徴
Molecular feature of pediatric T-cell acute lymphoblastic leukemia
磯部 清孝
1
Kiyotaka ISOBE
1
1京都大学大学院医学研究科発達小児科学
キーワード:
T細胞性急性リンパ性白血病(T-ALL)
,
分化
,
変異
Keyword:
T細胞性急性リンパ性白血病(T-ALL)
,
分化
,
変異
pp.15-20
発行日 2022年1月1日
Published Date 2022/1/1
DOI https://doi.org/10.32118/ayu2800115
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治療抵抗性を示すT細胞性急性リンパ性白血病(T-ALL)の予後は依然として不良であり,分子遺伝学的特徴に基づいた治療の最適化,新規治療開発は急務である.T-ALLのサブタイプはT細胞の分化を反映し,それぞれの分化段階でkeyとなる転写因子の異常がみられる.発現解析ではT-ALLは,①ETP群,②SPI1群,③TLX群,④TAL-1-RA群,⑤TAL-1-RB群,の5群に分類され,それぞれの群に特徴的な変異や転写因子の異常発現がみられる.このうち予後不良なSPI1群を構成するSPI1融合遺伝子陽性例では特異な発現/メチル化プロファイルを示す.また,この群においてRAS変異とSPI1融合遺伝子が協調的に働くことが白血化に重要である.コンピュータサイエンスやシーケンス技術の進歩により,T-ALLのさらなる分子遺伝学的特徴が明らかにされ,新規治療開発に結びつくことが期待される.
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